元保険会社社員の腰掛けブログ

相続のルールが変わる?配偶者や子供の相続権利が充実に

      2016/07/05

民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会で、遺産分割で配偶者の法定相続分の引き上げなどの中間試案がまとめられました。
具体的には、結婚期間が長期の場合には、現在の遺産分割では配偶者の法定相続分1/2ですが、これを2/3に引き上げること、また、子の配偶者は相続対象になっていませんが、看病や介護をすれば相続人に金銭を請求できるという内容になっています。

配偶者の法定相続分は1980年に1/3から1/2に引き上げられたのが最後ですが、高齢化が進み、独居老人の貧困化も問題になっているという社会背景もあり、引き上げが検討されています。
平成27年には相続税の基礎控除額が少なくなった上に、相続税率が引き上げられました。
配偶者の老後の生活が安定したもの、安心できるものにするためにも、配偶者の法定相続分の引き上げは効果があると思います。

また、亡くなった夫が遺言で自宅を第三者に贈与しても、妻が住み続けられる「居住権」の新設も盛り込まれています。
これも、残された妻が住む場所を失い途方に暮れるということを防ぐことができるので、良い権利だと思います。

さらに、相続人以外の人が介護や看病で献身的な貢献をした場合に、相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込まれています。
現実問題として、子の配偶者が介護や看病を担うケースが多いと思いますが、子の配偶者は相続人ではありません。

相続人であれば寄与分を認められることもありますが、元々相続権がなく何も相続できないことに不満に思う子の配偶者もいるのではないでしょうか。
被相続人が遺言書などを残して子の配偶者に遺産を渡すことも可能ではありますが、介護や看病を受ける状態で遺言書を作成することが難しいことも考えられます。
相続人ではなくても貢献度が認められ、相続人に金銭の請求ができるようになるのは良いことだと思います。

また、遺言制度においては「自筆証書遺言」の形式が緩和され財産目録がパソコンで作れるようになれば、遺言制度の利用を考える人が増えるかもしれません。
相続の際に争い事にならないようにするためにも遺言書は有効だと思います。
今後、この法案がどのようになっていくのかとても気になります。

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