元保険会社社員の腰掛けブログ

JA共済が7億円の保険金を横領!営業マンの不正に7年間も気づけず。

   

突然の病気や怪我で入院をする事になった時や家族の死亡、災害や火災で家に被害が出た場合に困らないように保障を掛けている人は多いですよね。
保障には、保険の他に共済というものがあります。

共済は「お互いに助け合う」という意味があり、組合員みんなであらかじめ共済掛金を出して財産を準備し、不測の事故が起きた時にそこから共済金が支払われる助け合いの保障です。
保険と同じくらい利用している方が多いのではないでしょうか。

共済事業を行なっているところはいくつかあり、その代表と言えるJA共済(農業協同組合)ですが、そのJA共済で大きな不正が発覚しました。
共済を活用している方はぜひ確認をしておきましょう。

保険金の横領のニュース

長崎県対馬市の対馬農業協同組合(JA対馬)は、40代の男性元職員が2011~2018年度、共済金約6億9200万円を不正に流用していたと発表しました。
元職員は営業担当をしていて、契約者に支払うべき共済金を自分や親族の口座に入れたり、事故を捏造して共済金を架空請求したりと不正を繰り返したそうです。

不正に得た金の一部は、私的に使用した他、契約実績を増やそうと顧客に無断で締結した契約の掛け金にも充てられていたとの事です。
契約者に支払われる予定だった共済金は回収した金額から支払われ、今後JA対馬は第三者委員会を設置して詳しい経緯などを調べる予定です。

JA対馬は、元職員の作成した伝票に不審な点があるという内部通報から本人に2回事情を確認したと発表しています。この元職員は内部調査を始めた後、対馬市の海中に転落した車の中で発見され、死亡が確認されたそうです。

JA共済の組織体制に問題があるのでは?

ニュース内で気になったのは以下の2点です。

1.長い間不正が発見されず、内部通報をキッカケに発覚した事
2.不正に得たお金の一部は実績を増やすために架空の契約時に使われていた事

まず、7年間も不正が発覚せずに約7億という金額が流用されていたJA共済の体制に疑問を感じます
次に不正に得たお金が実績を増やすために使われていた事です。

営業に関して少なからず「ノルマ」があった事が想像できます。それを達成するために不正を働いていたのなら、JAの組織体制も大きな問題と言えます。

本来なら共済も私たちの生活を守る役割をしていますが、それを作る立場で不正を起こすような体制をしていたら、私たちは安心して仕組みを利用出来ません。

販売者の言葉を鵜呑みにするのは危険?

ここまでずさんな体制が明るみに出ることは少ないですが、ノルマ達成のために顧客に合わない商品を進めるというのは珍しいことではなく、大きな社会問題となっています。

特に保険を含む金融商品では、数年前から問題視され、金融庁なども対策を行なっています。
ちなみにJA共済だけは金融庁ではなく農林水産省が監督しており、JA⇔農水省という持ちつ持たれつの関係で正常な監督が出来るのかという疑問は多くの関係者が抱いています(実際、天下りを受け入れる代わりにJAに便宜を図ったと疑われる事例は過去にも多数見受けられます)。

このような販売者利益を第一優先とした組織・営業マンはたくさん存在し、そのような販売者が進める商品が自分に合うものとは限らないというのが現状です。
これを機会に自分が加入している金融商品を確認し、本当に自分に合っているのか、ぜひ一度確認をしてみましょう。

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