元保険会社社員の腰掛けブログ

損害保険大手、火災保険の赤字状態がなお続く。

   

損害保険大手4社の2021年3月期の火災保険が2000億円を超える赤字見通しというニュースがありました。
2021年3月期が赤字となれば、損保大手4社合算の火災保険の損益は11年連続の赤字となります。

今回問題なのは、2020年は台風の上陸が12年ぶりになく、災害の被害が少ないのに赤字となることです。
従来の火災保険料の決め方では事業の採算が取れないことが浮き彫りになる結果となりました。

これまでも損保各社は火災保険の収益性向上に取り組んできています。大手損保4社は20221年1月には火災保険料6~8%引き上げ、企業向け火災保険料の大幅引き上げや支払いのリスクに応じた保険料設定などの対策を進めました。

これらの対策を行なっても収益が見込めないとなれば、水害リスクをさらに細かく反映した保険料設定や、地球温暖化も考慮に入れた保険料の大幅引き上げなど、商品設計そのものを抜本的に切り替えるような対策が行われることになります。

その結果、企業や個人ともに火災保険料の負担がさらに大きくなることが予想されます。

私たちが出来る災害への備え

火災保険の値上がりが続いている背景には、自然災害の発生増加、鉄鋼や化学の工場・倉庫などを含む危険物施設の火災事故発生の増加が背景にあります。
危険物施設の火災が増加している原因の一つには、建物の老朽化があります。

私たちが気をつけなければいけないのが、被害を最小限に抑える努力です。
自然災害を完全に避けることは難しいですが、被害を少なくする工夫は出来ます。

例えば、建物を新たに建てる時は災害対策を意識して建築する、漏電を防ぐために設備の点検や掃除をこまめに行うという事が出来ます。

例えば関東地方は地震には対応しているけど、台風には弱い作りが多いそうです。
関東地方は元々台風が少ない地域でしたが、ここ数年は被害が出るほど大型の台風が上陸しています。
災害が昔とは異なっているということを踏まえて、新しく建物を建てる必要があります。

また、普段から火災の原因を考え、火災を起こさない工夫をすることも出来ます。
工場火災が起こった時にテレビのインタビューで「普段からもっと点検していれば・・・」と言っていたことがあります。
特に老朽化した建物では漏電なども起こりやすいので、普段から気をつけることで発生を抑えることができるでしょう。

保険は、普段は滅多に起きないけど、起きたら被害が大きくなるものに掛けるものです。保険を掛けているから安心するのではなく、被害が起きないようにするにはどうすれば良いかを考え、実践していくことが大切です。
自然災害の発生で慌てるのではなく、普段からきちんと考え、対策を行いましょう。

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