元保険会社社員の腰掛けブログ

認知症患者や家族を支える保険、今後に期待

      2016/03/12

保険各社が認知症患者やその家族を支える保険商品の強化に力を入れています。
損害保険会社においては、東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン日本興亜が、認知症患者が事故を起こした場合に賠償金を後見人に支払う損害保険を発売します。

また、「個人賠償責任保険」の契約内容の見直しが進められており、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険では、離れて暮らす家族や成年後見人も補償対象としました。他社も追随すると思われます。

従来は、補償対象が同居の家族に限られていましたが、同居していない親も補償されるようになるのは良いことだと思います。
高齢になると保険の管理も難しくなりますし、世帯が別だからと世帯毎に保険加入するとその分保険料もかさみます。
高齢の親と別居している人にとっては大きな安心に繋がるのではないでしょうか。

一方、生命保険会社においては、太陽生命保険が、認知症と診断され、場所・時間・人物のいずれかの認識ができない症状が180日継続した際に一時金が支払われる保険商品を発売しました。

先日、認知症患者が徘徊中に電車にはねられ死亡した事故の裁判が大きな話題になりました。
鉄道会社への損害賠償責任を患者の家族にあるかないかが争点でした。
このケースにおいては、判決は家族の賠償責任はないとされました。
家族で介護をしている場合、家族の負担は大きく、重度の認知症患者ですと絶えず目を離さずにはいられない状況も考えられます。

しかし、24時間絶え間なく見守るのには限界があると思います。
そのような状況の中で、認知症患者が事故を起こし、人に迷惑を掛けた場合に家族を責めるのは酷なことだとも思います。
高齢化が進み、認知症患者は増加の一途ですので、決して他人事だとは言えません。
誰もがそういう状況にならないとも限らないのです。

介護の判定基準も厳しくなってきており、施設にも誰もがすぐに入居できるというわけではありませんから、家族が介護をするケースは今後も増えるのではないでしょうか。
家族が少しでも不安を解消できるのならば、保険を一つの手段として検討する人も増えるかもしれません。
家族や自分が介護状態になる前に、ある程度の年齢になったら、国の介護制度の利用を含め、家族でどのような対策をしていくのかを話し合っておくことが大切なのではないでしょうか。

損保各社、認知症患者増への対応加速 賠償や治療支援

 保険各社が認知症患者の増加を見すえた品ぞろえを強化している。東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン日本興亜は1日、患者が事故を起こした場合に賠償金を後見人に支払う損害保険を発売することを明らかにした。認知症の治療を支援する生命保険も登場した。保険を通じて、認知症の患者やその家族を支える仕組みが急速に広まりそうだ。

 認知症の男性が徘徊(はいかい)中に電車にはねられ死亡した事故をめぐり、
家族に鉄道会社への損害賠償責任があるかが争われた訴訟で、最高裁は1日、家
族の賠償責任はないとする判決を言い渡した。高齢化が進む中、認知症患者が起
こした事故について家族がどこまで責任を持つべきか、注目が集まっていた。

 この事故をきっかけに、損保大手は重度の認知症患者が他人にけがを負わせたり、他人の物を壊した場合、家族が賠償責任を負うリスクを補償する「個人賠償責任保険」の契約内容の見直しを始めた。

 三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は昨年10月、離れて暮らす家族や成年後見人を補償の対象に加えた。従来は同居する家族しか対象に入っていなかった。自動車保険や火災保険に特約としてつける保険で、年間の保険料は1000~2000円程度、保険金支払額の上限設定は1億円からとなっている。

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