元保険会社社員の腰掛けブログ

役員賠償責任保険、課税ルールが変更に。

      2016/03/05

役員が株主代表訴訟に備えて加入する損害保険「D&O保険」の保険料について、今まで企業が保険料を負担した場合には役員の給与所得とみなされ課税対象でしたが、一定の条件を満たせば課税されないことになりました。
国税庁が課税ルールを変更したのです。

株主代表訴訟になった場合には、多くの損害賠償を支払うことになる可能性があります。
場合によっては、それにより企業の経営状況が悪化することも考えられます。
今回の課税ルール変更は、企業が「D&O保険」への加入検討がしやすくなると思います。

では、役員の給与所得とみなされない一定の条件とはどのようなものでしょうか。
先ず、利益相反の観点からの取締役会の承認が必要となります。
そして、社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意を得ること、または社外取締役全員の同意を得ることが条件となります。

今後、株主代表訴訟敗訴時担保部分の保険料を特約として切り分ける必要がなくなり、株主代表訴訟敗訴時を免責としない「D&O保険」の販売が想定されます。

現在加入している「D&O保険」のままですと、この役員の給与所得とみなさないルールにならない保険契約となっていることも考えられます。
損害保険会社によっては、保険料会社負担に対する特約が新たに販売されます。
加入している保険会社、今後加入を検討している保険会社への確認が必要だと思います。

また、社外取締役がいない場合などは一定の条件を満たしませんので、従来通り株主代表訴訟補償特約保険料は役員の個人負担になるので注意が必要です。

(以下は日経新聞より)

役員保険料に課税せず 国税庁がルール変更

 国税庁は、役員が株主代表訴訟に備えて加入する損害保険について、企業が保険料を負担した場合の課税ルールを変更する。これまで企業持ちの保険料は役員の給与所得とみなされ課税対象だったが、一定の条件を満たせば課税しないことにする。企業が保険料を負担しやすくし、役員が大胆な経営判断を下せる環境を整える。

 役員が訴訟に備えて加入する保険は「D&O保険」と呼ばれる。経済産業省は2015年7月、取締役会の承認など一定条件を満たせば、企業が保険料を負担しても会社法上の問題は生じないとする指針を公表した。

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