認知症高齢者の賠償支援。保険料負担と予防の両面での支援が必要。
以下は元のニュースです。
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<愛知・大府市>認知症高齢者の賠償支援 保険料全額負担へ
愛知県大府市は13日、認知症の高齢者が第三者にけがをさせたり物を壊したりして家族が損害賠償を求められる場合に備え、市が保険料を全額負担して個人賠償責任保険に加入すると発表した。
事業費20万円を新年度予算案に盛り込む。
市によると、自治体が公費で同種の保険契約をするのは神奈川県大和市に次いで全国2例目という。
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生命保険は「互助」の考え方にもとづいて誕生したと言われています。
現在の日本は超高齢化社会。このような動きは今後も広がっていく可能性が高いうえ、推奨されるべきと思います。また、この制度の理想的な部分は、市民当事者の金銭的な負担がないという部分です。認知症に限らず、高年齢の自動車運転ドライバー等にも適用していくことでしょう。
サービスの拡散が次のテーマ
次のテーマは、この行政サービスの「認知度」が上昇していくことです。認知症になる恐れのある人の家族が対象で「事前登録」のため、家族がこの制度のことを知っていて申請手続きを行うことが大切ですね。
また、当事者が「自分は認知症ではない」と対象であることを嫌がることが多いため、申請もれのないようにすることが重要なポイントです。
また、現在は神奈川県大和市と愛知県大府市といった「特定の地方自治体」に限定した行政サービスとなっていますが、本来は居住地によって差があってはいけないものです。積極的な自治体の取組に終わらず、都道府県レベルや、理想は厚生労働省が音頭を取って国のサービスとして取り組んでいくことが大切です。
地上自治体によっては、この取組をすることで財政が逼迫化することは避けたいものですから、国の取組および意識改革にも期待したいものです。
さらに言うと、このような行政サービスの理想は「事故が発生する前に予防すること」も同様に大切と考えます。
事故が発生したあと、保険の保障によりどれだけ金銭が戻ってきたとしても、介護者は「事故を防ぐことはできなかったのか」を考えるそうです。
また地域のコミュニティでは、事故を起こしたことにネガティブな世間話を聞くことも多いでしょう。日常から予防医学に取り組む環境づくりが大切ですね。
保険と同様に必要な「予防医学」
具体的には認知症にならないための健康活動や生涯スポーツ、デイサービスの充実などです。単体の市町村では難しいため、複数の自治体が協力した広域自治体の取組としても望まれています。
認知症ケアは苦しむ当人だけではなく、介護を担う家族ばかりでもなく、社会の問題。俯瞰的な眼を持って取り組んでいくことが大切です。
またニュース記事を読んでみると、自治体の財源を「補正予算を組む」となっていますが、この部分に国から支援をするのが理想的な形です。補正予算を組むとことは巡り巡って、地方税の負担増という形で市民の負担が増すことは避けなければなりません。問題と向き合う自治体が損をしないように、取組が進むことを期待します。